2016年10月11日(火)
第337回高知県議会 平成28年9月定例会 一般質問(一問一答方式)
福祉施設の安心・安全について
障害児対策について
エコサイクルセンターについて
東京オリンピック・パラリンピックの事前合宿誘致と施設整備について
福祉について



福祉施設の安心・安全について


■大野たつや


この夏は、福祉施設の現場において、二つのあってはならない事件、事故が起こってしてしまいました。
一つは、7月26日、神奈川県相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」において、施設の元職員によって、施設の入所者や職員46人が殺傷された事件。また、8月の終わりには、東北や北海道に甚大な被害をもたらした、台風10号によって、岩手県岩泉町で川が氾濫し、高齢者グループホーム「楽ん楽ん(らんらん)」で生活する、認知症の高齢者9人が濁流にのまれ、亡くなられた事故であります。お亡くなりになられた方々、心や体を痛められた方々、御家族や関係者の皆様に対しまして、哀悼の意を表するとともに、二度とそうした事件、事故が起こらないよう、福祉施設における防犯、防災体制の充実、重要性、必要性も含め、今後しっかりと対策を行っていくことが、亡くなられた方々や御遺族、関係者の皆様に対する使命だと思うものであります。

相模原市での殺傷事件は、奇しくも障害者権利条約を批准し、この4月に障害者差別解消法が施行され、障害者差別の解消を、国を挙げて進めていこうとしていた矢先に、福祉施設の元職員によって、施設に入所されている抵抗できない状態の方々が一度に殺傷されるという、かつてない非情で惨忍、凄惨な事件となりました。被疑者は、事件前に、衆議院議長公邸や自民党本部を訪れ、首相や衆議院議長宛てに「目標は、重複障害者が安楽死できる世界」と主張し、「障害者を抹殺することが救済」などとつづった手紙を持参するなどして、障害者に対する犯行を予告するなどしていました。

事件により全国の障害者やその御家族、関係者の皆様は、特に深く傷つき、大きなショックと悲しみを受けました。事件の後には、多くの福祉関係者、障害福祉団体の方々がメッセージや声明文を発信され、傷ついた人々の心に寄り添いました。知的障害者の親たちでつくる、「全国手をつなぐ育成会連合会」は「障害のある人もない人も、私たちは一人一人が大切な存在です。もし誰かが『障害者は、いなくなればいい』なんて言っても、私たちは、全力で皆さんを守ります。ですから、安心して堂々と生きてください」と呼びかけました。また、アメリカのホワイトハウスやロシア大統領からも弔意が表明されるなど、世界各地から犠牲者に心を寄せ、障害者差別に反対するメッセージが寄せられるなど、事件は国内だけでなく、国外でも大きな衝撃となるものでした。
多くの利用者が生活する福祉施設において発生した、神奈川県相模原市知的障害者施設「津久井やまゆり園」での殺傷事件について、尾ア知事の御所見をお伺いしたいと思います。


●尾ア正直知事

まずは、このたびの事件によりまして亡くなられた皆様方に、心からその御冥福をお祈り申し上げたいと思いますし、また、御遺族、御関係者の皆様方にも深く哀悼の意を表したいと思います。

私も、今回の事件、報道で知りまして、正直なところ大きな衝撃を受けましたし、信じられないと思いましたし、そして、深い怒りを禁じ得ないと、そのように思っているところでございます。

県内において、やはり、こういう起こり得ないことが起こる、そういうことも可能性を頭に入れて対応していく、そういうことも大事なのかなとも、また、思いました。今、福祉施設の皆様方にいろいろ、また、お聞き取りもさせていただきながら、調査もさせていただいたところです。県内の関係者の皆様方が、こういうことに、問題に備えていくために、その必要なことについて、私どもに果たして何ができるか、これ、調査の結果も踏まえて、さらに考えていきたいと、そのように考えています。


■大野たつや

相模原市の事件において、神奈川県警察は、殺害された入所者の名前の発表について、「施設にはさまざまな障害を抱えた方が入所しており、被害者の家族が、公表しないで欲しい、との思いを持っている」として、被害に遭われた方の名前の発表を控えました。今回の事件においては、匿名を希望する家族への配慮から、神奈川県警察自らが発表を控えたもので、匿名発表に理解を示す意見もあれば、そうした対応自体が差別につながるのではないかとの意見もあるなど、論議を呼んでいます。

この事件における神奈川県警察が、被害者の名前の発表を控えた対応について、上野警察本部長の御所見をお伺いしたいと思います。


●上野正史警察本部長
 
警察では、警察活動への御理解と御協力をいただくため、発生した事件、事故について、できる限り積極的に広報しているところですが、捜査上の支障や被害者のプライバシー保護の観点から、発表を控えるということもあります。特に、犯罪被害者の氏名等につきましては、報道関係者からは、実名発表を求める声があるということも承知しております。が、一方で、被害者やその家族等から警察に対して、発表しないで欲しいと、そういう要望が出されることもあります。個別具体的な事案ごとに、適切な発表内容となるよう配慮しておるところです。

今回の神奈川県警察の判断につきましては、報道されているところによりますと、議員も御指摘になったように、遺族からのこうした要望があっての、実名を発表しなかったという判断に至ったというふうに承知をしております。



■大野たつや

被害者の御家族の一人は、名前を公表してほしくない理由を「日本では、全ての命は、その存在だけで価値があるという考え方が特異であり、優性思想が根強いため」と匿名への理解を求めたそうであります。今回の事件において、被害者の家族の意向を踏まえ、家族の気持ちに寄り添った、神奈川県警察の対応は一定理解ができますが、むしろ被害者の家族が匿名を望む今の社会の環境や、風潮にこそ深い課題があるのではないか、と思います。被疑者の「障害者なんていなくなればいい」などとの身勝手な主張は、報道でも言われているように、「優性思想」に通じるものなのかも知れません。

ここ数年、インターネットを見れば、言いっ放しの厳しい言葉があふれ、この国でも、近年、ヘイトスピーチやヘイトクライム、差別犯罪が増加し、マイノリティ、少数派に対する厳しい社会へと、風向きも強くなってきているように感じます。

昨年11月、茨城県の教育委員が「障害児の出産を減らしていける方向になったらいい」と発言し、問題になったこともありました。経済至上主義、効率的な社会による経済的格差の拡大や非生産性や非効率的な物事に対する社会的な分断により、近年特に、社会的弱者と言われる人たちに対して、自己責任論や社会的切り捨てを容認する傾向が強くあるように感じます。もしかするとそうした社会の流れが、一番大切な命を軽んじることにつながり、今回の事件にも影響しているのではないかと感じます。

人口減少などさまざまな事情により、経済が縮小していくと言われている状況のもとで、経済成長による飛躍的な再配分は厳しく、格差の拡大の進む今の社会では、特に社会的弱者と言われる方々への、厳しい状況が大きく変わる環境には遠いと感じます。多様な人たちが安心・安全に、助け合いながら暮らせる、社会環境をつくること、セーフティネットをつくることが、行政や政治の大きな役割の一つだと思うものですが、尾ア知事の御所見をお聞きかせいただければと思います。


●尾ア正直知事

御指摘のようなネットワークを、支え合いのネットワークをつくっていくということが、行政の役割だと、そのように思います。

日本一の長寿県構想の中で、高知型福祉の構築を行っていこうではないかと、そういう取り組みを進めてきたわけであります。あったかふれあいセンターの取り組みなどというのが典型なのでありますけれども、こういう中において、高齢者の皆様方をいかに地域の皆様同士で支えていくか、さらには、厳しい環境にある子供たちをどうやって支えていくか、そして、障害者の方々もどのようにしてお互い助け合っていくのか、そういう、支え合っていくのか、そのようなネットワークをつくっていきたいと、そういうことで取り組みを進めてきました。

残念ながら、都市部においては、いわゆる核家族化が進むなどという形で、地域の地縁、血縁というのが、だんだん薄れつつあるとも言われています。中山間地域においては、過疎化によって、この地縁、血縁が失われていっていると、そのように言われています。そういう状況だからこそ、意図的、政策的にそのような福祉ネットワーク、支え合いのネットワークをつくっていくということが大事だろうと、そのように考えておるところです。日本一の長寿県構想において、目指していこうとする高知型福祉というものは、そういうものであります。ぜひ、そういうことを目指してきて、さらなる努力を重ねていきたいと、そのように思います。



■大野たつや

惨忍で卑劣な犯行は決して許されることではありません。その背景も含め、こうした事件が二度と起こらないよう、徹底した捜査と分析を強く求めるとともに、事件を風化させることなく、私たちの社会が、この事件を通して多くの社会的課題に立ち向かうきっかけ、助け合いの優しい社会、共生社会への転換点にもしなければならないと思うものであります。一人一人の命の重さを大切にする、優しい国、優しい社会であってほしいと、切に願いを申し上げ、次の質問に移りたいと思います。

次に、福祉施設における高齢者や障害者など、いわゆる災害弱者が犠牲にならないための対策、取り組みについてお伺いしたいと思います。

冒頭でも述べましたが、岩手県岩泉町の高齢者グループホームで、入所中の認知症高齢者9人全員が犠牲になった事故ですが、その後の報道によると、施設が避難マニュアルを策定していなかったことや、避難誘導がきちっとできなかったこと、関係機関からの情報がしっかり伝わっていなかったことなど、多くの問題点が浮き彫りとなっています。本県でも、先般の台風16号による大雨で、県西部の施設において、床上浸水の被害がありました。災害弱者と言われる方々が多く入所されている施設においては、特に早めの行動が重要となります。東日本大震災の教訓を踏まえ、高知県社会福祉施設防災対策指針により、施設ごとの避難計画の策定が求められています。

そこで、岩手県岩泉町の事故後の本県における対応と、福祉施設における避難計画の策定状況について、門田地域福祉部長にお伺いします。


●門田純一地域福祉部長

岩手県で起きました、痛ましい高齢者グループホームの被災事案を受けまして、その翌日には、県内の高齢者、障害者、児童の福祉施設に対しまして、非常災害の災害時の避難方法などを定めた計画の策定や点検の実施について、一斉の注意喚起を行いました。

先月、台風16号が本県に接近した際には、これまでも台風接近などのたびに行ってきたことではございますが、事前にFaxで、厳重な警戒体制の確保について周知をいたしますとともに、被災や避難をした場合には県へ報告をすることを依頼し、情報把握に努めたところでございます。

避難訓練の実施などにつきまして定めました、防災対策マニュアルの策定につきましては、地震、風水害の双方に対応したものをつくっている施設が大半ではございましたが、地震のみに対応したマニュアルとなっている施設もございます。定期的に実施している施設への実地指導の際に確認し、指導・助言を行ってきているところではございますけれども、改めまして、マニュアルの内容の点検や避難訓練の実施状況など、さらに詳しい調査を行った上で、未策定の施設や対応等不十分な施設がございましたら、指導、助言等を行うことにより、福祉施設等における災害対策を徹底してまいりたいと考えております。



■大野たつや

岩手県岩泉町の高齢者グループホームでの事故は、福祉施設における備えを、改めて見直すことを教訓として示されたようにも思います。
近年、集中豪雨が多く発生する気象状況が続いており、震災対策とあわせて、特に、災害弱者と言われる方々が多く利用している、福祉施設の災害対策、避難訓練などによる事前準備の徹底を、改めてお願いしておきたいと思います。




障害児対策について

■大野たつや

地域で家族と障害児が在宅での生活を継続していくためには、介護者の心身疲労の軽減や休息などのレスパイトケアも含めた短期入所サービスが必要不可欠です。介護者からのニーズも多く、自治体が障害福祉サービスの支給決定をしているにもかかわらず、中山間地域などでは、特に、重度の障害児の利用できる施設が少ないことなども課題となっています。

重度障害児の短期入所施設の現状と、今後の整備について、門田地域福祉部長にお伺いします。


●門田純一地域福祉部長

障害児を主たる対象とする短期入所施設は、主に、市部を中心に21施設あり、病院や診療所等であって、医療の提供を行う医療型が4施設、それ以外の福祉型が17施設となっておりますが、重度の障害児を受け入れることのできる施設については、数カ所程度に限られている状況です。いずれも、ベッドに空きがない場合や感染症が広がりやすい時期などは受け入れをお断りされるケースもあるほか、特に、中山間地域におきましては、対応できる施設がないことから、離れた地域の施設を利用せざるを得ない状況がございます。

県では、これまで、単独事業として、医療型では、医療機関が短期入所サービスを提供した場合には、診療報酬分との差額を補助する制度の創設、福祉型では、行動障害のある方にサービスを提供した場合の費用の上乗せ助成を行っているところではございますが、十分な成果を得るまでには、まだ至っていない状況でございます。

新たな事業者の参入は難しいとは思いますが、今後とも、重度障害児の方が、できるだけ身近な地域でサービスを利用できるよう、医療機関に空床利用の短期入所を働きかけますとともに、受け入れることのできる施設の確保について、市町村や関係機関と連携して検討してまいります。



■大野たつや

重度障害児の受け入れ施設などの保護先がない中山間地域においては、このような事例も発生しています。重度の障害を持たれている子供さんを、一人で介護やケアをしながら育てているお母さんが、生死にかかわる重病で入院され、子供を介護することができない状況になってしまいました。特に、重度の障害を持たれている子供さんは、医療的ケアも必要になることから、しっかりとしたケアのできる体制の整う施設に保護して、いっときの切れ間のないサービスを提供する必要がありました。

このため、市町村は、児童相談所に一時保護を求めましたが、障害児の対応については、療育福祉センターが所管になるとの回答があり、療育福祉センターに保護を求めました。しかし、療育福祉センターにおいても受け入れることができず、近隣市町村にも受け入れできる施設もなかったことから、当該市町村は、県内全域で受け入れが可能な施設を探し、結果として、平日は特別支援学校の寄宿舎で過ごし、週末には市町村の担当者が遠方にある、障害児施設へ往復4時間をかけ送迎をして、短期入所、ショートステイの利用により保護することとなりました。

こうした事例への対応も含め、重度障害児の要保護に対する支援の現状と、児童相談所と療育福祉センターの障害児支援の役割分担と連携について、門田地域福祉部長にお伺いしたいと思います。


●門田純一地域福祉部長

子供の障害相談につきましては、児童相談所の役割ではございますが、本県の場合、子供から大人まで一貫した対応ができるように、療育福祉センターが中央児童相談所の1部門として障害相談を担っております。療育福祉センターは、児童相談所として、療育手帳や特別障害手当の相談を中心に、年間1,500件程度の障害相談を受けるとともに、その中で、年間40件程度の重度の障害児の施設入所の支援などを、関係機関と連携して行ってきているところでございます。

今回のケースは、先ほどお答えしましたように、ショートステイが少ないという根本的な課題がございまして、解決が難しく、関係する施設等とも調整はいたしましたが、相談された市町村のニーズには十分お応えすることができませんでした。

また、近年、いじめや児童虐待など、子供や家庭をめぐる問題は、例えば、児童虐待の要因に発達障害の問題がかかわっているなど、複雑かつ多様化する傾向を強めておりまして、より適切な対応を図っていく必要がありますことから、療育福祉センターと中央児童相談所の一体整備におきましては、子供の相談窓口を中央児童相談所に一元化をし、障害の有無にかかわらず、ワンストップで対応することとしています。

現在でも、障害相談においでた子供に虐待が疑われる場合などは、中央児童相談所の虐待対応部門と連携して、対応しているところでございますが、今後、一体整備を機に、さらに、両機関が有機的に連携し、互いの専門的な機能を高めることで、児童虐待や障害など、子供に関する全ての相談支援機能を強化してまいります。



■大野たつや

部長からもお話がありましたが、中央児童相談所と療育福祉センターの合築による「(仮称)子ども総合センター」の整備が進んでいます。新たなセンターには、施設機能の充実とあわせて、専門的なスタッフ、関係機関の連携による相乗効果にも期待したいと思います。

また、さまざまな状況下でケアや介護をしている家庭や親が窮地に立ったとき、先ほど述べた事例のような緊急を要する事態、いっときの猶予もない事態において、相談者に寄り添ったきめ細やかなワンストップかつスピーディな支援、対応をお願いしたいと思います。



エコサイクルセンターについて


■大野たつや

水質日本一、仁淀川の中流域の日高村にある産業廃棄物管理型最終処分場、エコサイクルセンターにおいて、8月と9月の2カ月続きで、廃棄物から煙が出る事故がありました。先日の西森議員の質問に対して、知事と副知事から再発防止についての決意も示されましたが、私のほうからも、再びこのような事故が起こらないよう徹底した原因調査と再発防止の取り組みをお願いしておきたいと思います。

そのエコサイクルセンターは、建設予定地の変更や地元日高村長のリコールなどの混乱があり、2003年には住民投票を実施するなど、特に、日高村の住民にとってはさまざまな混迷、混乱を経るなど、地域住民の多大な協力の上に、総事業費約44億円余りをかけ、2011年の10月に開業された施設であります。

施設の運用開始までには、県外に運ばれて処分されていた産業廃棄物が高知県内で処理できるようになり、医療廃棄物の処理も行なえるなど、重要な施設となっていますが、当初は、埋立容量11万1,550立方メートルを20年間で満杯とする計画であったものが、想定の2倍の速度で搬入が進んでいるということで、このまま行けば、平成33年度末ごろには、埋め立てが終了される見込みということであります。

エコサイクルセンターの埋立廃棄物増加の原因について、田所林業振興・環境部長にお伺いしたいと思います。


●田所実林業振興・環境部長

増加の原因といたしましては、まず、施設の設計が固まった後に、環境省の示す取り扱い方法が変更されまして、廃石こうボードが安定型最終処分場での処分から、管理型最終処分場での処分に変更されたこと、次に、開業直後の平成23年度と24年度に、建設工事現場から出現した鉱さい約1万1,000トンを受け入れたこと、また、開業前に実施した排出事業者を対象とする意向調査が、県内に管理型最終処分場がない状況での調査であり、排出事業者の搬入意志が明確でなかったことなどによるものと捉えております。



■大野たつや

もともとの算定根拠や見通しの甘さを指摘されてもやむを得ない状況ではあるとは思いますが、いずれにせよ、早急な対応が求められることとなりました。

既に、有識者による委員会が開催され、現施設の延命策や新しい施設の整備方針についても議論されているということで、マスタープランにおいては、県民の意見も反映されるとのことでありますが、特に、地元日高村住民への丁寧な説明とあわせ、しっかりとした意見反映を行うよう要請しておきたいと思います。

また、施設は、清流仁淀川の中流域にあります。施設の巨大な構造物そのものが、仁淀川の景観を損ねているとの声もあります。施設で大きな事故などがあった場合、扱っているものがものだけに、影響は計り知れないくらい大きいものがあります。また、これまで先人が守り続けてきた水質日本一の奇跡の清流、仁淀川のイメージをも一変させることにもつながりかねません。

施設の今後については、地滑り、汚染水の漏れ、震災対策など、徹底した施設の安全管理、運用とあわせ、環境や景観の保全対策についてもお願いしておきたいと思いますが、その対応について、尾ア知事にお伺いしておきたいと思います。


●尾ア正直知事

まずは、今回のエコサイクルセンターにおきます、発生事故におきまして、県民の皆様方に大変なる御不安、とりわけ日高村の皆様方に大変なる御不安与えてしまいまして、本当に心から申しわけなく思っております。再発防止にしっかり取り組んでまいりたいと、そのように考えているところです。

エコサイクルセンターといたしまして、これまでの間も、環境測定結果や施設の維持管理に関する情報公開などに努める、さらには、施設の見学の受け入れ、こちらにも積極的に取り組むなどの取り組みをしますとともに、いわゆる、河川環境の保全活動などに積極的に取り組むなど、環境にも配慮した安全な処分場としての運営に努めてまいりました。

今後とも、この点は引き続き徹底をしていかなければならない、そのように考えておるところです。

そして、景観の問題についてでございますけれども、こちら、やはり、この景観を損ねているという御指摘について、私どもとしても、真摯に対応しなければならんと思います。施設を運営する財団では、開業以来、これまで、ツタによる壁面の緑化というものを試みてまいりましたけれども、いまだ効果が見えていないという状況でございます。何らかの対策を講ずることができないものか、財団とともに、有効な対策について検討してまいりたいと、そのように考えます。



■大野たつや

先日、西森議員もおっしゃられていた、安心できる施設となるよう、私からも強く要請しておきたいと思います。



東京オリンピック・パラリンピックの事前合宿誘致と施設整備について


■大野たつや

2020年の東京オリンピックから、ソフトボール競技が復活することとなりました。本県におけるソフトボール競技は、もともと女子が中心の球技であったものを、大きい野球場のスペースがとれない本県の山間地域で、野球にかわる競技として男子でも普及が始まり、その後、小学生から社会人までが、国体や日本リーグなど各種の全国大会で優秀な成績を収め、相撲などと並んで本県のお家芸ともいえる競技となりました。この夏にも、私の地元、佐川町の尾川中、黒岩中、佐川中学校合同チームが、全国中学校総合体育大会ソフトボールの部、準優勝という輝かしい成績を収めました。相撲が国技なら、ソフトボールは高知県の県技とも言える競技種目であります。

県内には野球場の二回りほど小さい、ソフトボール専用球場が数カ所ありますが、ソフトボール専用球場が整備されているところは、全国的には大変貴重な環境で、これまで、全国の強豪チームが本県に集い、多くの大会などを開催してきた実績があります。ソフトボール熱の高い土地柄、競技人口、専用球場の多さ、そして、この度本県のソフトボール競技を牽引してこられた岡本友章(ともあき)さんが。全日本ナショナルチームの監督に就任されました。

そうした高知県のソフトボール競技の優位性も発揮しながら、オリンピックソフトボールチームの事前合宿などの誘致に取り組んでみてはと提案するものでございますが、この件については、田村教育長にお伺いしたいと思います。


●田村壮児教育長

お話にありましたように、ソフトボールに関しまして、本県は充実した競技施設ですとか、高い競技力を持っておりますので、その強みを生かして、オリンピックの事前合宿の招致に向けた取り組みを積極的に進めたいと考えております。

お話にもございました。このたび、全日本ナショナルチームの監督に就任された、岡本さんには、事前合宿の招致のためのネットワークアドバイザーとしても御支援をいただいておりまして、その人脈を生かさしていただいて、9月に群馬県で開催されたジャパンカップのために来日された、オーストラリア女子ソフトボール代表チームの監督に職員が接触し、事前合宿について提案させていただいたところです。現在も、交渉を進めておりまして、ぜひ招致を実現したいと考えております。



■大野たつや

私自身もソフトボール愛好者として、長くソフトボール競技を続けております中で、春野総合運動公園をよく利用させていただいておりますが、高知県が真のソフトボールのメッカ、聖地となるためにも、今後、多くの競技者や愛好者に広く利用していただくことが必要だと思っております。

そうした意味からも、現在の春野総合運動公園内の各競技場の、例えば、トイレに関しては、外国人、男女、障害者、健常者、若者、高齢者、誰もが利用できるユニバーサルデザインの視点による整備も必要と感じますが、最後に、春野総合運動公園内の施設の現状と今後の整備方針について、福田土木部長にお伺いします。


●福田敬大土木部長

春野総合運動公園では、陸上競技場、野球場などに、20施設に71カ所のトイレを設置しております。そのうち、車いすでも利用できる多目的トイレは、32カ所ございます。それ以外の39カ所のトイレの中で、洋式トイレの割合は約43%となっております。ユニバーサルデザインの考え方が、一般的となり、誰もが使いやすいトイレの洋式化について、利用者の方々より、御要望をいただいております。

県では、オリンピック、パラリンピックなどの事前合宿誘致を進めており、今後もさらに、このトイレの洋式化に向けて、取り組みを進めてまいります。



■大野たつや

これからも、利用者目線に立った施設整備を、どうかよろしくお願いいたします。



福祉について


福祉の質問にもう一度戻りたいと思います。

先日、依光議員からの質問にもありましたが、療育福祉センターの問題についてです。療育福祉センターの外来診療について、乳幼児健診を行っている市町村からも、「療育福祉センターの診察が予約で数カ月まで埋まっていて、約1年待ちの状態でなかなか受診ができない」「健診の後にすぐつなげていく相談機関がないため、ケアが必要な子供に対する支援の遅れや、訓練のタイミングを逃がしている場合がある」などとの声があります。

療育福祉センターのサテライト化、福祉保健所で相談を受け付ける体制の確立など、そうした対応策について、門田地域福祉部長にお伺いしたいと思いますます。


●門田純一地域福祉部長 

療育福祉センターの小児科と精神科の受診者数は、年々増加をいたしまして、平成27年度の受診者数は、約1万1,000人、そのうち、発達障害関係は、およそ8割を占めております。早期発見、早期療育の体制づくりが一定進み、療育福祉センターでの受診を希望される方が増加していることから、診療待ちの長期化などが大きな課題となっております。

このため、医療だけでなく、保健、福祉、教育の連携を強め、診療を待ってる間や診断後に必要な支援ができる体制を整備することが重要だと考えています。
 そうした体制の一つとして福祉保健所では、市町村の乳幼児健診後のフォローアップ相談や、発達専門相談、親子療育教室など、市町村とも連携をいたしまして、発達に心配のある乳幼児とその保護者への相談対応を行っています。

療育福祉センターのサテライト化というまでは、なかなか難しいと考えておりますけれども、市町村や福祉保健所と連携した相談対応や事業の実施など、療育福祉センターの地域支援機能の充実について、検討してまいります。

さらに、民間の事業所における地域での療育支援に携わる専門人材の確保、身近な子育て支援の場における対応力の向上などの課題についても、関係機関とともに検討を始めているところでございます。



■大野たつや

療育福祉センターについては、障害児やその家族への支援を初め、マンパワー体制の強化も強くお願いしておきたいと思います。そうしたセーフティネットをつくることが、行政、本県、官民の中においては、比較的体力のある県の役割が大きいものだと思います。どうか、よろしくお願いしたいと思います。

それぞれ施行部の皆様より、丁寧な答弁をいただき、本当にありがとうございました。

福祉の現場に限ったことでなく、家庭や地域で困難な課題などが起ったとき、まず家族や御近所、地域で対処し解決を図ることになりますが、それでも対処できない場合は、身近な行政機関の市町村役場に相談し、解決を図ることもありますが、役場でも解決できないような場合には、最後の砦として、県に相談し対応を求める場合もある、多いと思います。県に相談するにまで至った場合、現場では、よほど困難な状況や課題に直面している、そうした状況が多いのではないかと思います。相談を受ける県においては、できる限り、そうした現場を想定し、お受けとめていただいて、相談や支援を必要としている人、現場に寄り添った対応をしていただければ、ありがたく思います。

また、尾ア知事からは、共生社会への決意、手法について、お聞かせいただきました。社会保障や福祉行政への逆風が吹く昨今の社会情勢ですが、これまでどおりバランス感覚を持った県政運営に期待したいし、これからも行っていただきますようお願い申し上げ、私の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。



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